日本酒用語で良く出てくる原酒や生酒、生貯蔵酒?
その違いは明確に決められていますが、ご存じない方が多いはず。
この違いが分かると、日本酒選びもきっと楽しくなりますよ♪
■原酒(げんしゅ)と生酒(なまざけ)の違いとは?
原酒は、搾った日本酒を水で割らない
搾った直後のお酒は、アルコール度数が20度くらいあります。これに水を加え調整することを「加水調整」と言い、飲みやすいアルコール度数である15度前後に調整するためにこの作業を行います。
生酒は、搾ったお酒を熱処理しない
生酒は、お酒を搾っても酵母が活動を止めていないので、味わいや品質が徐々に変化する可能性があるため低温での温度管理が必要になります。
生酒と間違いやすいので、まとめると
- 「原酒」は加水調整しないもの
- 「生酒」は加熱処理しないもの
さらにこの2点のどちらもしないものを生酒+原酒=生原酒(なまげんしゅ)と呼びます。
秋から冬にかけては、日本酒の製造が最盛期を迎えますので、この頃に出る生原酒は、出来たて・しぼりたての新酒として登場します。
■「生」がつくけど、生じゃない?
生酒とは醪(もろみ)を搾った後に一切の加熱処理しないお酒です。
この加熱処理のことを日本酒業界では「火入れ(ひいれ)」と呼びます。
加水調整を行ったり、醸造アルコールを添加しても、この火入れさえしなければ「生酒」となります。
生酒は文字通り生のお酒ですので、温度による劣化を招きやすく、通常は要冷蔵商品となります。
また、搾ったあとすぐのしぼりたて・生酒と、一定期間冷蔵または氷温保管された貯蔵・生酒の味わいは全く違うものとなります。
似たような言葉で「生貯蔵酒」「生詰酒」などがありますが、こちらは最低1回の火入れ(加熱処理)を行っているので、生酒ではありません。
「生」がつく日本酒は、以上とおり3種類もあるのですが、その違いを押さえましょう。
■生詰酒と生貯蔵酒の違いとは…
生詰酒(なまづめしゅ)は、酒を搾った後、貯蔵前に火入れを行い、出荷時(瓶詰め時)には火入れを行わない酒を指します。
通常日本酒は搾った後、貯蔵前と出荷時の2度火入れを行いますが、生詰酒はお酒を搾った後、貯蔵前の1度のみです。
代表的な生詰酒は、各蔵元から秋ごろ出荷される「ひやおろし」がそれに当たります。
ただし、ひやおろし=生詰酒 とすべて言い切れないので、ラベル表記をよく見る必要があります。
そして、混同しやすいのが、生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)です。
こちらは搾った酒を火入れせず、生酒のまま貯蔵し、出荷時(瓶詰め時)に一度火入れを行うタイプの酒をいいます。
文字通り「生」で「貯蔵した」お酒で、生酒の風味を残す製法で、酒質も冷酒向きの酒となります。通称:なまちょ(生貯)とも言われますね。
■「生」がつくお酒のまとめ
・生酒
一切の加熱処理を行わないお酒 通称「生・生(なまなま)」とも言われます。
・生詰酒
貯蔵前に加熱処理を1度だけ行う。出荷時には行わない。
・生貯蔵酒
生酒で貯蔵したお酒を、出荷時(瓶詰め時)に1度だけ加熱処理を行う。
生酒は冷蔵で貯蔵しても酒質の変化が比較的早いので、昔から火入れという作業を行うことにより、その変化の速度を遅らせ、生の風味を残すお酒として生詰酒、生貯蔵酒があります。
ただ、生がつくから=美味しい日本酒とは限りません。
2度火入れを行う通常の日本酒は、貯蔵することにより適度な熟成と落ち着いた味わいになり、温度による変化も比較的受けにくい=常温管理が出来るのが大きなメリットです。
また、同じタンクからうまれた日本酒でも、これらの貯蔵や製法の違いで、お酒の味わいが異なりますのでこの違いを押さえておいて頂ければ幸いです。