■世界的に見ても珍しい幅広い温度帯で楽しめるお酒
日本酒は氷温から 55 度以上の飛び切り燗という熱々の温度まで、幅広い温度帯で楽しめるお酒です。
これは世界的に見ても珍しく、お酒でこの幅広い温度帯をカバーできるのは恐らく日本酒だけかもしれません。
ホットワインやカクテル、焼酎のお湯割りなどもあるじゃない?とお思いの方もいらっしゃると思いますが、これらは何かを混ぜたり、割ったりしているので、単体のお酒を温めただけではありません。
もちろんそれぞれの日本酒にも美味しく感じ適した温度帯があるのはもちろんですが、全体的に見ると日本酒の懐の深さを感じますよね。
さて、その温度帯。実は5度刻みでそれぞれに”呼び名”があるのです。
■これだけは知っておきたいお燗酒の”呼び名
表にすると常温からの温度の呼び名は7種類。
さらには氷温に向かって3種類あり、なかなか覚えられませんよね。
でもお燗酒なら「ぬる燗40度」「上燗45度」「熱燗50度」の3つを覚えて頂けたら十分だと思います。
■「熱燗」はひょっとしたら熱すぎるかも?
居酒屋さんなどで「熱燗お願い」というとお燗酒が普通に出てくるかと思いますが、実は熱燗の定義は、50度くらい。日本酒の飲用温度としては結構高めです。
お勧めは「上燗(じょうかん)」と呼ばれる45度くらい。日本酒が持つ香りが引き立ちつつ、味わいにやわらかさと引き締まりのバランスがちょうど良い温度帯です。
■温度を上げると辛く感じる?
一般的に温度を上げると香りと味わいが引き締まり「辛口」に感じます。
■同一のお酒でも、冷酒でやわらかく感じたお酒が、温度を上げると全く表情の違う
シャープな辛口に感じてしまうくらい温度の影響を受けます。
これを踏まえて、もし好みの味わいでなかった日本酒の温度を変えて飲むことで、「あ!いいかも」ということになる可能性もあり、一つの楽しみ方としておすすめします。
■大吟醸酒や生酒はお燗にしてはダメ?
フルーティな香りが特徴の大吟醸酒や出来たばかりの生酒はお燗にしてはダメ!と言われることがありますが、ダメと言うことではありません。
それらのお酒はお燗にしない方が無難なケースが多いためであり、楽しみ方としては実はアリの場合もあるのです。
例えばフルーティな香りが特徴の大吟醸酒をお燗にする場合のコツは、温度を上げすぎないことです。
35度くらいの「人肌燗(ひとはだかん)」から40度くらいの「ぬる燗」が個人的には良いような気がします。
冷酒で飲んだときとは違い、口当たりのやわらかさを感じ、なおかつ隠れていた香りが顔を出し始める温度帯です。
ただし、それがベストな温度帯かと言われると、好みが出てくるので、いろいろな温度帯を飲んで味わいの変化をまずは楽しんで頂くのが良いかと思います。
大吟醸酒でも数年寝かせた古酒であると、ぬる燗が意外に良かったりと、同じ大吟醸酒でも味わいに違いが出るのが日本酒の奥深さです。