久比岐 和希水について

久比岐和希水について

久比岐 和希水(くびき わきみず)は、 新潟県上越市柿崎区東横山地区の棚田で作られた酒米「越淡麗(こしたんれい)」を使用しております。
その東横山地域は尾神岳中腹にあり、環境省が平成20年に「平成の名水百選」として認定した大出口泉水があります。
その大出口泉水は湧き出る清水は、飲用の他に贅沢にも東横山地域の棚田に引き込まれ、農業用水としても活用されています。
名水と棚田という条件は他の地域にはなかなか存在しない好条件ではありますが、米作りには水が冷たすぎ、収量が増えない棚田のデメリットもあります。

酒米の栽培は、地元若手農家の集まりである「柿崎を食べる会」と、地元の日本酒の蔵元である「頚城酒造」が主体となり、 またその活動に賛同する有志のメンバーを中心に2012年よりスタートしました。
当店の店長である宮崎文徳もその有志のメンバーの一人です。

酒造りにおいては、近年数々の賞を受賞する名杜氏の元、柿崎を食べる会のメンバーの一部も蔵人として従事しております。
自分達が作った思い入れのある酒米で、酒を醸す。米の栽培から酒の製造まで携わっているのが、この蔵の蔵人の特徴です。

気になる味わいは、純米とは思えないワンランク上の純米吟醸といっても過言でないような品のある香りと、 大出口泉水由来の透明感のあるスッキリ感と程よいうまみが広がるやや辛口のお酒です。
頚城酒造が目指す、食中酒としてお召し上がり頂くことを前提とした飲み飽きしないキレのある味わいがあるのが印象的です。

▼純米生酒と一度火入の違いについて
どちらのお酒も搾ったところまでは"同じお酒"です。その後の発売までの期間の熟成方法が異なります。

6月ころ先に発売される「純米生酒」は、その年の春先に搾られた生酒を数ヶ月間、雪室で低温熟成させた商品です。
生酒のフレッシュ感を残しつつ、低温熟成されたまろやかな口当たりの良さを感じて頂けます。

年間を通して発売される「純米 一度火入れ」は、搾った後に瓶燗火入れと呼ばれる湯煎殺菌を行った常温で管理できる商品です。
火入れと呼ばれる熱殺菌を行い、出荷まで瓶内熟成を行うことにより、熟成の変化が緩やかとなり、 ホッと落ち着くような味わいが楽しめます。

同じお酒がベースですが、熟成方法による味わいの違いを感じるのも、このお酒の楽しみ方の一つです。

▼久比岐 和希水のラベルについて
中山間地域である東横山地域と大出口泉水をイメージしたデザインです。
商品名である和希水(わきみず)は、大出口泉水の湧き水にかけており、人々の「和」と中山間地域が活性化する「希望」から 有志メンバーで名付けました。
夏前の生酒の緑色は緑の田んぼを、秋からの一度火入の黄金色は収穫を迎えた田んぼをイメージしております。

■新潟県上越市柿崎区と大出口泉水について

海にも山にも恵まれた自然豊かな地で造られるお酒
日本三大薬師の一つとして数えられる霊峰米山のふもとに位置し、 日本海の恵みも豊かな新潟県上越市の北部に柿崎区に頚城(くびき)酒造はございます。
西は日本海、東は米山山麓と車なら約1時間で海と山の行き来ができる非常に自然に恵まれた地です。

山間地域には平成の名水百選に選ばれた「大出口(おおでぐち)泉水」があり、 水質は新潟の湧水らしい「軟水」で、米作り、酒造りに使用される水に非常に恵まれた地域です。
▼大出口泉水について
緑豊かな尾神岳の中腹にあり、豊富な水が一年を通して枯れることなく湧き出る名水です。
一日に約 4,000トンも湧き出る水は硬度23度で水温は約8度に保たれています。平成20年に環境省による「平成の名水百選」に選ばれました。
また、新潟県の「輝く名水」にも選ばれています。
※上越市ホームページより引用

■酒造好適米(酒米)越淡麗の田植え

久比岐和希水 田植え

久比岐 和希水の原料米である越淡麗(こしたんれい)は、新潟県が独自に生み出した酒造好適米(酒米)です。
お酒にするとふくらみのある味わいとスッキリとした淡麗さを兼ね備える酒米として使用されております。

大出口泉水付近にある棚田には湧き水が引き込まれ、米作りとしてはやや冷たい農業用水のようです。
水が冷たい地域のお米は美味しいと言われておりますが、冷た過ぎると収量が減る傾向にあり、 また棚田という田んぼでは農業機械も入れにくいという米作りの難しさがあります。

地元若手農家の集まりである柿崎を食べる会では、この中山間地域での米作りにチャレンジし、 地域の活性化と大出口泉水周辺の環境整備を目的に「久比岐 和希水」プロジェクトがスタートしました。
お酒の販売した額の一部はこの地域の水質保全活動に寄付されます。

2014年には地元地域を中心とした一般の方にも田植え作業を体験して頂きました。
素足で泥の中へ足を入れての手植え作業は、泥だらけになりながらも非常に充実した時間であったとお声を頂きました。


■酒造好適米(酒米)越淡麗の稲刈り

久比岐和希水 稲刈り

平野での稲刈りが一段落した10月上旬に酒米・越淡麗の稲刈りが行われます。
この日は秋晴れの青空も広がりましたが、棚田特有のぬかるみに、手作業での稲刈りはまるで田植えの時のように足が抜けません。
稲刈り用の農業機械であるコンバインでも一部刈り取りを行いましたが、ぬかるみに苦労しました。

手刈りした酒米はコンバインでその場で脱穀され、一日の作業を終えました。
下界に広がる日本海には夕日が映りこみ、稲刈り作業のメンバーは作業を終えた余韻に浸っていました。

■収穫した酒米・越淡麗を使い酒造りを行う

久比岐和希水 酒造り

2月中旬。この日は暴風雪の警報が出る日でもありました。
海沿いの地域ある頚城酒造の外では寒風が吹き荒れ、蔵の中も体感温度は氷点下に近い状態のなか、 久比岐 和希水の酒造りがスタートしました。
いわゆる寒造りと呼ばれる寒い時期に日本酒を仕込む新潟ならではの酒造りです。

頚城酒造杜氏の山田 晃さん指導のもと、柿崎を食べる会のメンバーや有志が蔵の作業を行います。
店長の宮崎も作業に入らせて頂き、蒸し上がった酒米を酒母タンクに運ぶ作業を行います。 作業の中で特に酒のタンクの中を撹拌する「櫂入れ(かいいれ)」と呼ばれる作業では、酒米が投入されるごとに櫂入れの重みが増し、 真冬なのに汗をかきながらの作業で、酒造りの大変さを身にしみて感じた次第です。

醗酵も順調に進み、3月下旬にはお酒が搾られ、2014年より雪室での雪中貯蔵も行われております。