今年は桜の開花が各地で遅れているようですね。
暖冬だったとはいえ、3月は例年より寒かったように思います。
冬が厳しい新潟の人たちは、四季の中でも特に春を待ち焦がれる方が多いです。
大地を白く覆った雪が溶け、田んぼが見え始める頃をイメージしたのがこのお酒のラベルになっています。
手がけたのは千代の光酒造がある妙高市出身の画家・青木隆太さん。
実際のお酒を飲んでこのラベルデザインの創作に入られたと聞きます。
その青木さんと、このお酒をプロデュースした千代の光酒造の池田剣一郎さんは、小さな頃からの友人。
その縁があって、友人同士のコラボが実現しました。
このお酒を一つの作品として考えると、お二人の想いがこもった合作なのですね。
雪国出身者だからこそ描ける技と感性、そして自然の恵みから誕生する日本酒にただただ感動します。
さて、肝心なお酒の味です。
2024(令和5年酒造年度)バージョンは、より透明感が増したとのこと。
なるほどと思い、入荷したばかりの白ラベルを早速試飲してみました。
テイスティンググラスにお酒を注ぎ、鼻を近づけてみると、ほのかにお花のような香りを感じます。白桃の香りにも似ているでしょうか。
ひとくち含むと、発酵由来の優しいガス感を感じます。
なるほど、そうきたか。
まるで早い春に吹く、まだまだ冷たい風のような”ピリッとした”印象を受けました。
中盤からはやわらかさと透明感を感じますが、後半にかけて日本酒らしさであるボディ感(味のふくらみ)もちゃんとあります。
最後はほどよい渋味が絡んだキレでフィニッシュ。
アルコール度数14度台のお酒ということですが、淡い感じではなく、むしろこの位がちょうど良い印象を受けますね。
生原酒でインパクトのある酒質も良いですが、こういった優しさを感じるようなタッチのお酒もまた良いと思います。
あ、そうか!
これが雪国に訪れる春の雰囲気を味わいで具現化したのかも。
そう思わせてくれるような味わいです。
J.S.A. SAKE DIPLOMA 宮崎文徳