梅と焼酎、氷砂糖などで漬け込んで出来る手作りの梅酒って
ホント美味しいですよね~
でも、この梅酒
実は注意しないと、違法になってしまう事があるので、今回はその点についてつづります。
日本国内のアルコールに関する法律「酒税法」
お酒に関する法律は全てその「酒税法」で定められています。
第一章 総則(課税物件)第一条 酒類には、この法律により、酒税を課する。http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO006.html
酒類には酒税がかかりますので、国税庁が管轄機関となります。
口に入れる飲み物ですが、お酒の小売店や蔵元、ワイナリーなどは、税務署からの指導を受けて販売、醸造を行っています。
また、酒類とはアルコールが1%以上含まれた飲料をさします。
第二条 この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO006.html
ノンアルコール飲料でも、全くアルコールが含まれていない飲料と1%未満の飲料があるのは、この法律があるからです。
酒税法によって酒類と他のものを混ぜるには免許がいると定められている
酒税法によって酒類と何かを混ぜる行為は、新たなる酒類を作ることになるので、酒造免許がいることになりますが、自家醸造に限り、注意点を守れば問題ありません。
【自家醸造】Q1 消費者が自宅で梅酒を作ることに問題はありますか。A しょうちゅう等に梅等を漬けて梅酒等を作る行為は、酒類と他の物品を混和し、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされますが、消費者が自分で飲むために酒類(アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限ります。)に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としないこととしています。また、この規定は、消費者が自ら飲むための酒類についての規定であることから、この酒類を販売してはならないこととされています。1 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ2 ぶどう(やまぶどうを含みます。)3 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす根拠法令等:酒税法第7条、第43条第11項、同法施行令第50条、同法施行規則第13条第3項国税庁HP-Q1 消費者が自宅で梅酒を作ることに問題はありますか。より引用
このポイントとしては
▼アルコール度数が20度以上あるベースとなる酒類を使用すること
アルコール度数が20度未満であると、再発酵により
新たなるアルコールが生成される恐れがあるためらしいです。
▼米や麦、ぶどうなどは混ぜてはいけない
混ぜてはいけない物が細かく記載されているので注意が必要です。
米や麦、ぶどうなどは発酵しやすいのが原因と思われます(未確認)
▼売っちゃいけません
自ら飲むために限りOKです。恐らく家族もOK。
そして2007年に知人などに限り無償譲渡ならOKという政府見解も出たようです。
ただ、売ることに関してはダメです。
旅館や飲食店が梅酒を作り提供するのは、税務署に申請すればOK(だだし、条件付き)
Q2 旅館等で自家製の梅酒を食前酒として提供することに問題はありますか。また、何か手続きは必要ですか。A1 しょうちゅう等に梅等を漬け込む行為は、原則として、酒類の製造に該当し、酒類製造免許や酒税の納税等が必要になりますが、旅館等を営む者が宿泊客等に提供するため、当該旅館で酒類に他の物品を混和する場合等、次のすべての要件を満たすときには、例外的に酒類の製造に該当しないこととし、免許や納税等が不要となる特例措置が平成20年4月30日より設けられています。なお、この特例措置は、この酒類を混和した旅館等において飲食時に宿泊客等に提供するために行う場合に限られ、例えばお土産として販売するなどの譲り渡しはできないこととされています。国税庁HP-旅館等で自家製の梅酒を食前酒として提供することに問題はありますか。また、何か手続きは必要ですか。https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/qa/06/33.htm
2008年に酒税法の特例措置により、旅館や飲食店を営業する方が自家製梅酒を作り、提供する場合はOKとなりました。
ただし、お土産などで販売は上記の通りNGです。
2 この特例措置を行う場合は、次の手続等が必要になります。(1) 開始申告書の提出新たに混和しようとする場合には、混和を開始する日の前日までに営業場の所在地を所轄する税務署長に対して「特例適用混和の開始申告書」を提出する必要があります。(2) 混和に関する記帳混和に使用した蒸留酒類の月ごとの数量を帳簿に記載する必要があります。
混ぜる前日までに地域の税務署に「特例適用混和の開始申告書」を提出すれば良いようです。
そして、さらにポイントとして、飲食業を営む方が提供出来る梅酒は、
日本酒やワインなどの醸造酒類はダメで、アルコール度数20度以上の蒸留酒類のみとされています。
(3) 混和できる酒類と物品の範囲混和に使用できる「酒類」と「物品」は次のものに限られます。また、混和後、アルコール分1度以上の発酵がないものに限られます。イ 使用できる酒類・・・蒸留酒類でアルコール分が20度以上のもので、かつ、酒税が課税済のものロ 使用できる物品・・・混和が禁止されている次の物品以外のもの(イ) 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ(ロ) ぶどう(やまぶどうを含む。)(ハ) アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす(ニ) 酒類
ワインと同じ醸造酒の日本酒では、個人の場合はアルコール度数20度以上(そんな日本酒(清酒)は、ほとんど見かけませんが)に限り、飲食店においては、蒸留酒のみで、醸造酒を使ってはいけないのでNGです。
個人ではアルコール度数20度を超えたベースと酒類はOKでも、飲食店などは蒸留酒類に限られるのがポイントですね。
あと、余談ですが、ホワイトリカーと呼ばれる焼酎の35度を梅酒造りに使用するのは、20度よりも梅のエキス分が抽出されやすいからだそうです。
カクテルは合法だけど、サングリアは違法になるかも?
飲食店などが提供するお酒同士またはお酒に何かを混ぜて作るカクテルは、
お客様からの注文が入り、その場で作り、その場で飲んで頂く場合は問題ありません(テイクアウトはダメ)
これは個人も同じで、飲む直前に作ればOKです。
しかし、注意しなければならないのは、個人はもちろん、飲食営業されている方も、”作り置き”においては、NGであることです。
1 消費の直前において混和した酒類を販売した場合の取扱い酒場、料理店その他の酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者が当該営業場以外の場所において消費されることを予知して混和した場合又は酒類の消費者が他に販売する目的で混和した場合は、消費の直前において混和したこととはならないので、法第54条《無免許製造の罪》の規定に該当し、無免許製造となるものであるから留意する。https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sake/2-18.htm
なぜならば、混ぜて作り置きする行為はみなし製造とされ、
該当する酒類の製造免許が必要となるためです。
これらを踏まえますと、ワインに果実などを漬け込むサングリアは、直前にワインと果実を混ぜて作るのであればOKなのですが、作り置きがNGのほか、ワインのアルコール度数10~15度であることを考えると、個人の場合でもアルコール度数の低さが抵触するのでNGです。
サングリアの場合は、直前にワインと果実類を混ぜ、作り置きはしない(飲み残しで保管×?)が、ポイントのようです
まとめ
酒類に手を加える行為は、商売はもちろん個人の場合でも、酒税法違反になる可能性があるので注意が必要ですね。
(正直この事実を知るまでは、こんなに厳しい法律であるとは思いませんでした)
法律に則った梅酒は個人、飲食業においてもOK
だだし、いろいろ条件があるので注意!
直前に混ぜるカクテルはOKだけど、作り置きのカクテルはNG
かなりざっくりとまとめると以上の通りでしょうか
酒類の混和=新たなる酒類を製造
ということから酒類の製造免許が必要となり、
その製造免許は、年間の最低製造数量基準などが決められ、
個人が製造免許を取るのはあまり現実的ではないかもしれませんね。
もし、もっと酒税法についてお知りになりたければ、国税庁-酒税のホームページか、
最寄りの税務署にいらっしゃる酒類指導官にお尋ね下さいね。
作るのが難しいと感じた方は、当店でも梅酒を販売していますよ。