日本酒のソムリエ・SAKE DIPLOMAである店主の宮崎文徳です。
2023年1月23日(月)に蔵元に伺い、搾った直後のお酒をその場で瓶詰めする「直汲み(じかぐみ)」と、そのお酒の瓶にラベル貼りをする貴重な体験をしてきました。
結論から言いますと、出来上がったお酒はもう期待通り、うまい!うまい!うまい!と言いたくなる味わいでした。
今回は特約店の店主が蔵元に集まり、出来上がったばかりの、しぼりたての新酒をその場ですぐに手作業で瓶詰めするという「直汲み」を行いました。
通常は機械を通して瓶詰めを行うのが一般的ですが、お酒を飲んでくださる皆様に、できたての特別な味わいをすぐ楽しんで頂きたく頑張りました。
当日は朝9時半から蔵人となり、搾ったばかりの新酒の瓶詰め作業です。
タンクからお酒を搾る”ヤブタ”と言われる機械をつなぎ、出たばかりの新酒を容器に移します。
それを手作業で瓶に詰める単純な作業ですが、間違いなく定量720mlを入れるため気が抜けません。
瓶詰め後は直ちにキャップを打詮をしていきます。
直汲みしたお酒は、ろ過や調整を行っていない無濾過生原酒です。
無濾過のお酒は香味が豊かなこともあり最近人気がありますが、搾ったままのいわゆる”すっぴん”のお酒でもありますので、蔵元の酒造りの技量や品質が分かってしまうという部分もあります。
そして生酒なので、一般の火入れ酒に比べて味わいの変化が早いのも特徴です。
つまりは、今だけしか味わえない、寒造り真っ只中の旬のお酒ということですね。
この瓶詰め作業はお昼前まで続き、無事に詰め終わることが出来ました。
お昼は蔵元の中で特別なお料理を頂くことに。
「泡汁(あわじる)」と言われる、醸造中の醪(もろみ)で沸き立つ泡で、それをお汁に入れたものです。
泡のうまみが何とも言えず、おかわりを頂きました。
ただ、醸造中のお酒の一部のため酒税が関係しますので、実は蔵元の場内でしか味わえない特別な一品なのです。
そして、このお汁は地元料理店からの差し入れで、丁寧に下処理された地元産のイノシシの肉が入っていました。
臭みがなく上品な脂で美味しかったです。
午後は、場所を変えてラベル貼りの作業です。
機械でラベルを貼ることが一般的ですが、八恵久比岐のラベルは全て「手貼り」です。
ラベルは活版印刷の技術を応用して作られており、光にかざすと透けて見える特注品です。
表ラベルと裏ラベルをそれぞれ手作業で貼るのは、曲がらないようにとなかなか気を使います。
あと、瓶に入ったお酒が冷えているので、手先からその冷たさがダイレクトにきますので、終えた後は指先の感覚がマヒしていました。
今回のお酒は当店では720ml 60本限定です。
全部私が瓶詰めとラベル貼りをいたしました。
出来たてのお酒を皆様に味わって頂きたいので、手書きでメッセージと、シリアル番号を裏ラベルに入れております。
夕方までに作業を終え、自分で詰めたお酒を持って帰ってきましたので、報告を兼ねてその日の夕食に早速1本を開けて、家族で飲みました。
自分が実際に汲んできたのもあると思いますが、もう美味しくて、美味しくて…
気付けばついつい飲み過ぎてしまい、疲れも出たせいか、20時には就寝となりました(笑)
今回は酒造りの現場に入り、蔵人の仕事を体験させて頂きました。
皆様の元に美味しいお酒が届くまでの過程を見ることが出来たこと、
そして蔵の皆さんが想いを込めて酒造りをしていることが改めてよく分かりました。
↑蔵人であり、このお酒の原料米の農家でもある、岸田さん(左)と、松崎さん(右)と記念撮影もさせて頂きました。
最近は、農家さんが冬に蔵人として働くケースは少なくなっていますが、自分で作った米で、酒造りをする一貫した流れは、やはり想いが入りますので、出来上がるお酒の味にプラスになると思います。
酒造りの現場を見せて頂くことは本当に勉強になりますし、私の想いも込めて皆様にご紹介出来るなと感じております。
今年はこういったお酒のご紹介が増やせるようしていきたいと思っておりますのでぜひご期待頂ければ幸いです。
今回搾って直汲みしてきたお酒はこちらから
八恵久比岐「風-KAZE-」 純米大吟醸 直汲み 無濾過生原酒