蔵元に行き、出来たてのお酒を詰めてきました!~八恵久比岐 直汲みプロジェクトレポート2025~

蔵元に行き、出来たてのお酒を詰めてきました!~八恵久比岐 直汲みプロジェクトレポート2025~

目次

日本酒のソムリエ・SAKE DIPLOMAの宮崎文徳です。

 

1月16日に、地元の頚城酒造さんにお邪魔して、八恵久比岐 純米大吟醸「風」のしぼりたてのお酒を手作業で瓶詰めしてきました。

搾った直後のお酒をその場で瓶詰めする「直汲み(じかぐみ)」という作業で、今年で3回目のプロジェクトです。

 

出来上がったお酒はもう期待通り、絶対にうまい!と言って頂ける仕上がりでしたよ。

そして、そんなお酒を皆様にお届け出来ると思うとワクワクします!


例年より雪が少なく、当店の周りは朝雪が積もっていましたが、海に近い頚城酒造さんの周りは雪が全くありません。


今回も、八恵久比岐・特約店の店主やスタッフが蔵元に集まり、出来上がったばかりの、しぼりたての新酒をその場ですぐに手作業で瓶詰めするという「直汲み」を行いました。

通常は機械を通して瓶詰めを行うのが一般的ですが、お酒を飲んでくださる皆様に、できたての特別な味わいをすぐ楽しんで頂きたく、みんなで頑張りました。

当日は朝9時から蔵人となり、実際に作業を行います。

蔵に入ると、酒米を蒸している甑(こしき)から湯気が立ち上っていました。

これを見ると蔵元に来たな~と実感します。

 

蔵人の皆さんに挨拶をしたあとは、搾る前のタンクの醪(もろみ)を確認です。

 

吉崎杜氏が櫂(かい)と呼ばれる混ぜる棒を使用し、にごり酒状態のお酒(醪・もろみと言います)を撹拌中でした。

寒造りと言われる一番良いお酒を仕込む時期なのに、にこやかに対応してくださいました。

 

その醪(もろみ)が入ったタンクからお酒を搾る”ヤブタ”と言われる搾る機械へホースを繋ぎ、圧力をかけて搾ります。

そうすると間もなく搾られたばかりの日本酒がちょろちょろと出始めます。

 

それを専用の容器に移し替えていきます。

 

 

 

お酒が搾られるのを待つ間、蔵人として働く岸田さんと記念撮影。

 

岸田さんは、地元で酒米を作る農家さんですが、冬は蔵人として頚城酒造で働いていらっしゃいます。

 

自分が作った酒米で、酒を仕込む。

この地域では農家が冬は蔵人として働く文化がありますが、近年は珍しくなってきたかもしれません。

 

岸田さんはご飯のお米も作っていて、当店のWebサイトでも「岸田米」として販売中です。

ご購入頂いた皆様から美味しいとのお声もたくさん集まっています。

こちらもおすすめですよ!

 

さて、今年の酒造りの傾向など話をしているうちに搾ったお酒が集まりましたので、ここからは酒店皆さんの出番です。

 

ここからは、1本1本手作業にて、瓶に詰めていきます。

見本の瓶を横に置き、入味線と呼ばれる液面が揃うよう慎重に作業を行うのですが、入味線と目線を合わせなければ正確に合わせられないので、毎度屈んでいました。

それはまるでスクワットのようで、今日はその影響が太ももに筋肉痛として出ています(笑)

 

当店の分と、今回都合があわず参加出来なかった酒店さんの分を合わせて720mlを120本、瓶詰めしました。

なかなか負荷のかかる作業でしたね。

 

ただ、作業中はとにかく華やかな香りが漂い、香りだけで美味しいと思えてしまい、お酒の味に期待が高まりました!

 

瓶詰め作業は2時間ほどかかり、お昼を過ぎてしまいました。

単純な作業でしたが、腕や背筋から腰が張りましたが、運動不足の私にとっては良い機会です。

 

作業が終わると、八木社長の奥様から声がかかり、お昼ごはんを準備しているので、皆さんでぜひとの事でしたので、ごちそうになりました。

 

炊きたてのコシヒカリのご飯、そして民宿わすけさんから届いた魚のフライや玉子焼きといったお料理です。

 

今年はなんとお汁が2種類もあり、けんちん汁に、ブリのアラ汁です。

このお汁の仕上げに、醪(もろみ)の泡を入れ、蔵元の建物でしか味わえない「泡汁」として頂きました。

醗酵中の醪(もろみ)の泡をすくったもので、蔵元の中でしか味わえません。そのため蔵人しか味わえない幻とも言われます。

まろやかさとうま味が増し、特別な味わいを堪能しました。

 

美味しかったので、お汁は合計三杯も頂き、たらふくごちそうになりました。

泡汁のおかげで、寒い蔵の中での作業で冷えた体がポカポカと温まりました。

 

さて、作業はこれで終わりではありません。

お昼ご飯のあとはラベル貼りへと進みます。

 

八木社長自らラベル貼りのレクチャーです。

特に難しい作業ではないのですが、まずは瓶を逆さまに持ち、異物混入がないか最終確認です。

異物は見受けられませんでしたが、直汲みらしいお酒がわずかに濁っていて、酒粕の一部が漂っているのがよく分かります。

 

その確認が終わった後は、蔵人お手製のラベル貼りの台に瓶を置き、貼る位置を確認しながら、斜めにならないよう表のラベルと、裏の表示ラベルを一つ一つ貼っていきます。

 

ラベルのデザインは、雪国の人々がこの時期に特に思いを寄せる「春」をイメージし、活版印刷の技術を応用したこだわりのラベルです。

春風に舞う、桜の花びら

ですね。

 

小一時間、神経を集中して作業を行いましたが、お手元に届いた際に若干曲がっていたらごめんなさい。

 

ラベル貼り作業も順調に終わり、夕方に解散です。

自分で貼ったお酒を持ち帰り、お店の冷蔵庫に入れてこの日を終えました。

 

この日の夕食に、早速自分が搾ってきたお酒を頂いてみました。

 

最近は香りや味わいが分かりやすいワイングラスで試飲することが多いです。

グラスに鼻を近づけると、洋梨を思わせるような華やかで品のある香りが「フワッと」入ってきます。

「うん?、例年より香りがあるよなぁ…こんなに華やかに香ったっけ?」

 

ひとくち含みますと、やわらかさを感じた後に、無濾過のお酒らしい凝縮感があるようなコク、そしてきれいに「キュッ」としたキレが感じられます。

 

うまいなぁ

作業した疲労感もありましたが、心に染みるような味わいです。

 

今年も良い出来です。

今日確認したら、やはり酒造りを進化させているようです。

酵母を変えたわけではなく、酵母のエサとなる麹造りをしっかりと行い、例年よりも時間をかけてゆっくりと定温で醗酵を行ったから、昨年より華やかに香ったり、味わいが良くなったりと、杜氏を中心とした技術が磨かれた結果なんだそうです。

 

この日、直汲みしたお酒は、ろ過や調整を行っていない純米大吟醸の無濾過生原酒です。


無濾過のお酒は香味が豊かなこともあり、最近人気がありますが、搾ったままのいわゆる”すっぴん”のお酒でもありますので、蔵元の酒造りの技量や品質が隠せない、そのまま分かってしまうという部分もあり、自信がなければ出せません。



そして生酒なので、一般の火入れ酒に比べて味わいの変化が早いのも特徴です。

つまりは、今だけしか味わえない、寒造り真っ只中の旬のお酒ということですね。


この直汲みの瓶詰めは、とにかく手間と時間がかかるのですが、私が苦労した分、皆様にはきっと美味しい味わいを堪能して頂けるはずです。

 

今だけの味わいをぜひお楽しみください!

 

八恵久比岐「風-KAZE-」 純米大吟醸 直汲み 無濾過生原酒

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